5万年前に人類に何が起きたか?−意識のビッグバン
リチャード・G・クライン、ブレイク・エドガー、鈴木淑美[訳]
新書館(2004) \2,000
ISBN:4-403-23100-4

5万年前に人類に何が起きたか? 表紙

この本を読んだ目的は、人間の能力は何時、どのように発展してきたのかを知りたかったかからです。 700万前にチンパンジーと別れてからの人類史には比較的重大な変化が4段階で起こっている。 第1:約250万年前、剥片石器が現れたころ類人猿より際立て大きな脳を持った人類が出現」; 第2:約170万年前、ホモと呼ぶに相応しい人間らしいプロポーションを持ち、ハンドアックスという石器をつくり、 アフリカから他の大陸に進出; 第3:60万年前、脳の大きさが拡大し、石器も洗練されたものになった; 第4:約5万年前、最も重要な変化で完全にお現代人の能力を獲得し、自然環境へ影響を与える存在となる、 最後の出アフリカがあった。イラク北部シャニダール遺跡のネアンデルタール遺跡に多くの植物花粉が含まれていた。 埋葬の儀式ないし死者を悼む心が7−8万年前のネアンデルタール人にあったのではと、センセーショナルに報道された。 しかし、埋葬に関する副葬品が全く無いことなどから、ネズミが花粉を運んだとの疑問があり、 埋葬、ないし芸術、音楽等の文化的な習慣は持っていなかった、また、言語能力も咽頭骨付近の形態からの類推で、 十分ではなかったと類推している。一方現代人の祖先、ヒトの遺跡では、4万年前のケニアからダチョウの殻で作った 明らかなピーズが出土している。5万年以降には、食習慣の多様な発展を示す出土品も増え、魚や鳥を捕らえる技術的発展があった。 今やミトコンドリア染色体DNAによる女系のルーツ、Y染色体DNAによる男系のルーツ探索から、全ての現人類は、 約5万年前にアフリカを出たヒトの子孫であることが明白で、ネアンデルタールとは大きく異なっている。 ほぼ5万年前にヒトは、飛躍したが、その理由については、本書も結論を下していない。 73,500年前に、スマトラ島のトバ火山が噴火した。これは、4億5千万年間でも最大規模で、 1981年のセントヘレンズ(米)の噴火の4000倍の大噴火であった。長期にわたり「火山の冬」(核の冬を連想した造語)が到来し、 生物に多大な影響を与えたが、ヒトはこれをキッカケに発展したわけではなく、それから2万年も立ってからブレークスルーした。 脳の神経回路に何か革命が起こったには違いないが、その原因は分からない。 最後に、遺跡の年代測定の詳細と、誤差の問題点についてまとめてあり、「数値」を過信してしまいがちな我々に警鐘を発している。 訳者あとがきに、2004年、7.5万年前の南アフリカの遺跡からビーズの発見があったことが書かれている。

(溝田 忠人)