ネアンデルタール人の正体−彼らの「悩み」に迫る
赤澤威
朝日新聞社(2005) \1,400
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ネアンデルタール人の正体 表紙

本書は、日本における古人類学の成果をネアンデルタール人関係にしぼって11人の著者が分担執筆している。 あとがきにあるように、本書はW.オールマン「ネアンデルタール人の悩み」に触発されて書かれたとあるが、 先の書評で取り上げた、「5万年前に人類に何が起きたか?−意識のビッグバン」 (原著The Dawn of Human Culture (2002))の影響も大きいようである。注目すべきは、 ネアンデルタール人の骨格から復元した顔を掲げてある点である。鼻と目の大きながっしりした体格であり、 大勢いれば異様な感じかもしれないが、本書に書かれてあるように、電車の中に服を着てまぎれていれば、 結構こういう顔のヒトはいるなという感じである。しかし、言語も未発達で、感情的にも我々から見るとかなり劣っていたようである。 化石、遺伝子、解剖学、社会学、脳科学、発達等各方面からの専門家のネアンデルタール理解へのアプローチの随所に、 それでは我々はどうなのかという隠れたテーマへの執着を感じる。

(溝田 忠人)