生き物をめぐる4つの「なぜ」
長谷川眞理子
集英社新書(2005) \740
ISBN:4-08-720168-6

生き物をめぐる4つの「なぜ」 表紙

著者は女性の動物行動学の専門家。動物の数々の不思議、 例えば、雄と雌、鳥の声、鳥の渡り、光る動物、親の子育て、角と牙、そして最後に人間の道徳性について、 同じ動物行動学者のニコ・ティンバーゲンによる「四つのなぜ」に基づいて最新の研究結果を解説しています。 その行動が引き起こされる1)直接の要因、2)その機能、3)その固体に置いてどのように発達するか、 4)その動物の進化の過程ではどうか、という観点でその不思議を解明しようと言うものです。 蛍の光も、ホタルイカも同じ物質を使って光るとか、鳥のさえずりに学習が重要とか、各々の不思議も面白かったが、 最後の人間の道徳性について、こういう立場でどう見るかが私の最も関心のあった所です。 人間の道徳の基盤は、自己抑制、共感、他者理解などの生物学的進化に基づく。他の霊長類とも一線を画す人間固有の性質は、 より強固な「自己」の概念、自意識と抽象化能力と結論します。

(溝田 忠人)