ユダの福音書を追え
ハーバート・クロスニー、関利枝子他[訳]
日経ナショナルジオグラフィック社(2006) \1,900+
ISBN:4-931450-60-1

ユダの福音書を追え 表紙

父の日のプレゼントにもらった本です。キリスト教の成立直後には、多数の派が多くの福音書を持って活動を行っていた。 2世紀から3世紀にかけて次第に宗教としてまとまり、新約聖書の4つの福音書(マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネ)に収斂し、 教会の権威の下に、異端とされた文書類は破棄され現存するものは極めて少ない。現在エジプトは、イスラム教の国とされているが、 古いキリスト教の一派のコプト教がかなり広く信仰されている。これは、エジプトのある地域から数十年前に発見された、 古代コプト語で書かれた文書に関する顛末記です。エジプトの出土品は、骨董価値が高いので、 昔は先進国の調査隊の発掘と持ち帰りにより、最近でも、盗掘―闇ルート―先進国というルートで流出を繰り返してきた。 このパピルスに書かれた文書も、読める人は世界に数人。価値もわからないのに、骨董商やドロボーまがいの人を転々として、 やっと最近権威ある調査で日の目を見る段取りになった。スリラーまがいの記述が大部分で、内容は最後にちょっと出てくる。 イエスを最後の晩餐で裏切って、磔刑にした元凶と嫌われるユダが実は、イエスの指示で遺言に従った最も忠実な使途であるという 「ユダの福音書」だった。全能のキリストがユダの計略にかかるのは変だと思っていたので、この解釈の方が平和的で良い。 それにしても、仏教の諸派の成立過程とキリスト教のそれも良く似ている。人間の心や宗教心の成立について考えさせられます。 「ダビンチコード」よりは科学的です。

2008年には全訳が刊行されるとか。

(溝田 忠人)