いい子ふつうの子
麻生信子
共同通信社(1997) \1,500+
ISBN:4-7641-0388-5

いい子ふつうの子 表紙

ほぼ10年前の本です。1996年に福岡県の中学の国語の教員を定年退職した著者が、 37年間の教育実践に基づいて、いじめの本質について提言してます。10年前の出版なのに、内容が今年の事のように新鮮なのは、 日本の「いじめ」問題への対応がこの間、退歩して来たということでしょう。もし文部科学省と教育界が、 著者の提言を真摯に受けとめ対応していれば、今日の事態は無かったのでは?すなわち、いじめを受ける側は全く悪くない、 例え弱点はあったとしてもそれはいじめる側も同じように持っている。いじめを主導する子供ばかりでなく周りで傍観していたり、 消極的にしろ加担する「いい子ふつうの子」が、いじめを助長する。子供の行動は親の作った社会の投影、 子供は親社会の価値観の具現者です。いじめられる子の気持ちを教え、自分を客観的に見る能力に気づかせてやることにより、 子供はいじめを克服する。教師は教材を深く教えることにより、教育を通して子供の成長を促すことができる。 体罰否定に到達した著者が、様々な体験や生徒の作文などを通して、いじめ問題の本質を明らかにしてます。

大学生問題も「このごろの学生は」と言う前に、本質をついた対応を求められていることを反省させられる。

(溝田 忠人)