進化と人間行動
長谷川眞理子・長谷川寿一
放送大学教材、(財)放送大学教育振興会(2007) \1,300
ISBN:978-4-595-30758-4

進化と人間行動 表紙

最近の自分の興味にぴったりのタイトルの教材(教科書)を放送大学の図書館で見つけて早速読んだ。人間の本性の探求には、進化生物学の考え方が必要である。ダーウィンの進化論以降、特に最近、遺伝子の研究や霊長類を含む動物行動学が進歩した事がどのようにヒトの理解につながっているかを概観的に読み取る事が出来る。例えば、一般には興味本位で語られる血液型と人間の性質について、現段階では、A型とB型はかかりやすい下痢の種類が異なり、O型は下痢やコレラの耐性に弱いがマラリアには強く、ガンにも耐性が強いなど、病気に対する耐性に差がある等の事が分かって来つつある。民族間で血液型の分布が異なるのも、生きて来た衛生状態・風土の関連しているようだ。進化生物学の成果がバクテリアから人間の性質まで豊富に簡潔に書かれており、分野の雰囲気を掴むには最適の本である。気になったのは、私自身がとても面白いと思う、骨の髄を食することをニッチとして人類が現在の発展につながったとする島泰三の説に全く触れられていないことである。これについて、著者らの見解が知りたいと思った。図6-4の脳の容積が3桁大きくなっているのは教科書らしくない誤植?

(溝田 忠人)